戦争は悲劇も生むが技術も生む。
皮肉なものだが、戦時下に開発された技術がいまや民生品として平和の世で利用されている。
テントのフレームに用いられているアルミニウム合金はその代表だ。
アルミニウム合金の中でも主に以下の3つが使われているようである。
2000系(Al-Cu系)
6000系(Al-Mg-Si系)
7000系(Al-Zn-Mg系)
2000系の中でもA2017をジュラルミン、A2024を超ジュラルミンと呼ぶ。
また、7000系のA7075を超々ジュラルミンと呼ぶ。
ジュラルミンはドイツのDurenという地名とAluminiumを掛けあわせた造語という説が一般的である。
A7075はESD(Extra Super Duralumin)と名付けられ、超ジュラルミンの次を行くということで超々ジュラルミンと名付けられた。
日本の五十嵐博士が開発したとされ、零式艦上戦闘機、通称零戦に使われた。
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/零式艦上戦闘機
これらの合金はいずれも熱処理型の合金であり、合金の成分と熱処理によって高い強度を発揮する。
材料屋としてどうしても我慢ならないことがある。
『強度の高い(超々)ジュラルミンをつかってるからうちのテントは安心だよ』
というメーカーの宣伝である。
材料強靭学、破壊力学を学んだ身としてはこれは危ないと感じる。
たしかに超々ジュラルミンは強度が高い。
だが応力腐食割れという問題がクリアされてはじめて使ってよい材料といえる。
応力腐食割れは、材料成分、腐食環境、引張応力の3要素で決まる。
応力腐食割れを引き起こす7000系は、腐食環境下と引張応力がかけられつづける部位への適用は適さない。
つまり湾曲して使うテントフレームには、A7001(超々ジュラルミンとは呼ばない)、A7075などを使うのは限られた環境下で使用しなければならないと考える。
本ブログは個人の意見として捉えていただければ幸いだ。
ファミリーキャンプのように道具の管理がなされない場合、フレームにジュラルミンと書いてあったら、よほどのことがない限り選択しないことが懸命と私は考える。
テントは普通、張りっぱなしにしないから問題ないのでは?
湿気たとしてもすぐに乾かすし。
コメントありがとうございます。
これら合金が構造材として適用される場合、一般的に使用用途が限定されます。
ファミリーユースで利用されるとさまざまなことを想定しなくてはならず、いわゆる『想定外』ということがおきえます。
例えば海水による腐食、溶接、過大な締め付けなどよる破損です。
テントフレームを製造している会社さん知ってますか?
自作テントを作ってみたいと計画してます。
もし知っていたら教えて頂けると嬉しいです。
コメントありがとうございます。
テントフレームを作っていただけるメーカーはわかりません、ごめんなさい。
近所の鉄工所にききましたら、図面あれば作れるよ、とのことでしたのでまぁそりゃそうだろな、と思いました。
モノポールなら簡単でしょうが、フレーム構造もつとフレームとリングピン、その他もろもろを揃えないといけないので面倒かもしれませんね。