リコールを出す企業は良心のある企業だ。
顧客に不利益を被らせないようにするしっかりとした企業といえる。
今回はスノーピーク社のリコール事例を扱うが、スノーピークはむしろ優良だと考える。
ただ、そのリコール情報が興味深いのでとりあげてみたい。
なお推測の域をでないことを断っておきたい。
TP-770 トルテュPro.のテントポール折損リコール
出典:https://www.snowpeak.co.jp/sp/notice/notice_tp_770.html
症状
トルテュPro.を設営後3日~5日の連続使用時に、Cフレーム、リッジポール、テントフレームの ジョイント部分が折れる可能性がある。
材質はA6061、熱処理は不明、印加応力は曲げ応力、荷重はおそらく弾性域内、腐食環境は不明、破面は不明、とよくわからない。
ただ、伸びが高いA6061が写真にあるように脆性的に壊れるものだろうか。
しかも挿入したポール側が壊れている。
こちらはカシメられた際の負荷が挿入されたポールよりも小さいように思える。
対策内容
(1)Cフレーム、リッジポール、テントフレームのジョイント部接合方法をカシメから接着に変更致します。
(2)フレーム内部の補強材の肉厚を変更し耐久力を向上させます。
カシメ部から破断したため、カシメをやめて接着に変更したようだ。
カシメをやめた・・・
これ、応力腐食割れなんじゃないのか?
応力腐食割れの怖さは以前の記事で紹介してあるので参照いただきたい。
1. 挿入したポールの材質に7000系が使われた可能性がある。
2. カシメによる塑性締結と曲げ応力の印加されている事実がある。
3. 近くに海水(塩)があるような腐食環境もしくは塩がポールに付着した可能性がある。
2と3は十分おこりえそうだ。
1が定かではないが、まともなA6061ならこのように壊れる気がしない。
材質に関する言及はないが、スノーピーク社は対策としてカシメを廃止している。
これは塑性変形をともなわなくするため、対策としては優秀だ。
ただ、繰り返しになるがA6061が応力腐食割れで短期間に壊れるようには到底思えない。
推論の域をでないのは承知しているが、材料選定のミスないし材料取りのミスがあったようななかったような・・・
真相はわからないがおもしろい事象だと思う。