結論から言うと、鋳造(ちゅうぞう)ペグなんてものは世の中にない※1, 2。「鋳造」と「鍛造」、ともに漢字は似ているが作り方は全く異なるので注意していただきたい。鍛造である証拠を掴むため、調査した結果を以下のリンク先に示した。マニアックすぎてたぶんおもしろくない。
※1 2020年11月現在、鋳造工法が用いられているペグがみつかりました。謹んで訂正致します。本記事公開時の2018年時には、おそらく鍛造ペグはなかったように思います。したがって、本記事は修正せずに残すことと致します。
※2 詳細はこちらを参照:ロゴスの鋳造ペグを超マニアックに調査
さて、我が家は写真のような鍛造ペグ、ピンペグをメインに使っている。
テント購入時はピンペグをメインに使っていた。
というのも、初めてペグを買う際に
『ソリッドステーク、最高っすよ。鋳造ペグだからどんなところでもOKっす。』
と常滑イオンのスポーツオーソリティの店員さんに言われ、鋳造ペグはちょっと・・・と思いピンペグにしたからだ。
『え?鍛造(たんぞう)じゃないの?』
と聞き直すも、
『鋳造(ちゅうぞう)っすよ。みんな鋳造ペグっす。』
と言われ、そんなもんか、と思ってしまった。以下の写真はピンペグ購入後に追加した我が家の鍛造(たんぞう)ペグ。これは鍛造ペグ。
職業がら、鋳造(ちゅうぞう)ときくと心配になる。もし自らでペグを設計する場合、鋳造は避ける。予期しない欠陥が入りやすく、信頼性が低くなりがちだからだ。鋳造だからといってすべてが信頼性が低いわけではない。しかし、生命を守る部品であること、少量生産品であること、これらの理由からまともなエンジニアであれば鋳造は使わない。自称鋳造エンジニアである自身が言っているので間違いない。
『スノーピークの鋳造ペグっすよ?!』
屁のつっぱりはいらんですよ、よろしく言葉の意味はわからないがとにかくすごい自信だと思った。トップブランドであるスノーピークが鋳造ペグを本気で開発したとすると、世界レベルの鋳造技術を持っているのか。オーステンパ球状黒鉛鋳鉄(ADI)をまともに量産で使っているのに違いない!
さすがスノーピーク !
と思ったが、ペグの形状からしてわざわざ鋳造で作る必要性を感じない。これを無理くり作っているとしたら、ちょっと怖いな・・・と思い、ここでいう鋳造ペグなるものは見送り、我が家のシュナーベル5(テント)と同じメーカーのオガワキャンパルのピンペグを購入した。
帰りの車中でふと思った。鋳造(ちゅうぞう)と鍛造(たんぞう)の漢字を間違えており、違いがわかっていない。当たり前であるがソリッドステークは鍛造品だった。
鍛造ペグが強い!という数値に現れ難い都市伝説にも似た現状がある。果たして鍛造ペグは強いのか?と考えてみるとペグの形状設計に影響するように思えてくる。それというのも最大発生応力がペグ打ち時の衝撃荷重とすると、形状が同一であれば鍛造でもただの切削でも、いずれも降伏応力内で使用されるものと思われる。鍛造でつくる頭の形状はピンの長手方向に位置し、単純に座屈し難い形状となっている。つまり鍛造だから良いのではなく、ペグの形状設計がまずは秀逸なんだと思う。当然、鍛造(熱間鍛造だと思われる)による組織変化もあるだろうが、一番の要因はペグの形状設計にある、ということが言えると思う。
ちなみにピンペグでもよほどの曲げ応力がかからないければ問題ない。だけどエリッゼステークの方がかっこいいのでエリッゼステークから使っている。
2019年6月18日更新
ogawaのテントを使っている身としては、Ogawa TANZO PEG鍛造ペグも使わなければならない、ということで買ってみた。変な形状だな、と思ってみたがなかなかいいかもしれない。ogawaのペグであるTANZO PEG、ピンペグ、プラペグを比較してみたので興味があればこちらもどうぞ。
別記事:ogawaのTANZO PEG(鍛造ペグ)、ピンペグ、プラペグの比較
ペグを焼入れすることで強度アップできないか考えてみた。夏休みの自由研究に役立つかも?!
結局スノーピークは「たんぞう」でいいんですよね?
はい、スノーピークのソリッドステークはたんぞうだと思います。
間違いないとは思いますが、ミクロ組織観察という工法確定をする調査をしてみます(コロナで暇なので・・)。
お盆明けにまた覗いていただけると幸いです。
探してみると、信頼のLOGOSさんは「鋳造 スチール」と記載のペグを出しているようなのですが、圧延よりは強いのでしょうか?
おもしろい情報をありがとうございます。
LOGOSさんのページを確認してみたところ、たしかに「スチール(鋳造)」と書いてありました。
興味深いので1本買って調べてみます。
圧延、鍛造されたものの方が鋳造よりも強いです。
鋳造のペグって、もっと前からありそう。溶接しなくていいし。アルミの鋳造ペグとかなかったのかな。
やまさん
コメントありがとうございます!
その昔のものを調べてないのでなんとも言えませんが、タープ向けの長いペグを除いて溶接していないかな、と思います。
アルミはダイカストで作ってるペグがありましたが、後発でした。